なにひとつ淋しがることはない

パパは死ぬとき、どんなにあなたがいることに感謝していたか。

あなたが歩いたり、笑ったり、ものを投げたり、うたた寝したりしている全ての姿を、私たちはバカみたいに口をぽかんとあけて、うんうん、とうなずきながら、嬉し涙を流して見つめていました。
おばあちゃんも、あまりそういうことは言わない人だったけど、きっと同じ気持ちだったと思うよ。

もしもこの世に神様がいて、こんな目で人間を見ていたら、なにひとつ淋しがることはない、そういう目で、あなたは見つめられて育ってきました。
そりゃあ、生きていくのは甘いことじゃないよ。人生は基本的に鬱っぽいものです。つらいか、退屈か、鈍くなっているか、悲しいか、苦しいか。

それでもあの目で見られたことがあることは大きいことだと思う。

ママは、自分は親がいないからそれを知らないと思っていました。
おばあちゃんは当時きびしかったからなあ。でも、あなたが生まれて、おばあちゃんがあなたを見るときの目を見ていたから、そんなことはない、私もこういうふうに祈りのこもった目で見てもらえてたんだ、ということがよくわかった。
若い日の私はやっぱりごうまんだったみたい。

『アナザー・ワールド』 よしもとばなな
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by codamama | 2014-09-02 10:20


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